皮膚病の話

腎臓のお話

突然ですが、皆さんは腎臓と聞いたとき、どのようなイメージが浮かんでくるでしょうか?
普段の暮らしの中で腎臓を意識することはほとんどないでしょうから、あまり多くのことは浮かんでこないと思います。唯一意識することがあるとすれば、トイレでおしっこをするときでしょうか。(それでもおしっこをするときに「今日も腎臓は元気に頑張ってるなぁ」とか考える人はいないと思いますが…)
このように、皆さんにはほとんど無視されているにも関わらず、文句も言わずに黙々と働いてくれているのが腎臓です。今日は普段日の目を見ない腎臓のお話(堅苦しくなりますが…)を少しさせていただき、腎臓について知ってもらえればと考えています。


腎臓は左右に1対ある臓器です。腎臓の働きには大きく分けて2つあり、1つは尿を作ることと、もう1つはホルモンを作ることです。尿は、血液を濾過して原尿を作りそこから体に必要なものを再吸収し、不必要なものはさらに分泌して排出を促します。日常生活の中で体内に溜まった余分な水分や酸・電解質・老廃物を排出し、体にとって必要なものは再吸収して体内に留める役割を担っています。
また、ホルモンを産生することで血圧の調節や、貧血の改善にも働いたり、カルシウムの吸収を促すビタミンDを活性化することでカルシウムやリンの調節に関わったりしています。
このように、腎臓は非常に多くの役割を担うことで体内環境を一定に保つ役割を果たしている働き者です。

人と動物たちの絆が深まったことや、飼育環境の変化、獣医療の進歩などにより動物たちも高齢化が進んでいます。これらの高齢化した動物で問題になることが多いのが慢性腎臓病です。慢性腎臓病とは様々な原因により長期(人では3ヵ月以上)にわたって腎臓の形や機能、または尿の異常が続いた状態を言います。慢性腎臓病になると先程挙げたような機能が低下するため、食欲不振や体重減少、嘔吐、貧血、高血圧など非常に多くの問題が発生してきます。

ここで注意しないといけないことが2点あります。
1つは、このような症状が出てきたときには既に慢性腎臓病がかなり進行した状態になっていることがあるということです。一般的に行われている血液検査で腎機能に異常が見つかった場合、腎機能は正常時の25%以下になってしまっていると言われています。
もう1つは低下した腎機能は治療しても大きく回復することはないということです。慢性腎臓病の治療は、残っている腎臓の機能をうまく使って体調を整えることを目的に行われます。

つまり、できるだけ早い段階で慢性腎臓病を発見することが腎機能を維持していくために重要です。早期に慢性腎臓病を見つけるために有効なのは、尿の異常や飲水量の変化を捉えることです。初期の慢性腎臓病では薄い尿しか出なくなるために尿量が増加します。尿の臭いや色が薄くなることもあるでしょう。また、必要な水分が尿として失われてしまうためにのどが渇き、飲水量が増加します。

もちろん、これらの変化は正常でも起こることがありますので(緊張したり、気温が高くなったりした時など)、すべてが異常なわけではありませんが、ご自宅でもできる簡単な健康チェックの項目だと思いますので、気を付けて観察してみてはどうでしょうか。そして、これらの症状にあてはまりましたら、一度獣医師に問い合わせてみてください。もしかしたら腎臓からの調子が悪いというサインかもしれません。

 



(文責 獣医師 河崎)